サーモグラフィ、非接触式体温計、人感検知、ガス検知など、赤外線を用いたセンサは広く使用されています。
これらの赤外線センサや赤外線カメラの試験する際には、基準となる光源として、「黒体炉」が使用されます。
ここでは、概要と選定方法について簡単にご説明します。
ご不明点がございましたら、お気軽にお問合せください。
技術情報TECHNICAL INFORMATION
黒体炉セレクションガイド
黒体炉とは
黒体(Blackbody)とは外部から入射する電磁放射を、あらゆる波長に渡って完全に吸収する物体のことで、
完全な意味での黒体(理想黒体)は現実には存在しません。
黒体からの電磁放射は黒体放射と言いプランク関数で表されます。
黒体炉は黒体を近似的に再現した装置で、赤外線を使った装置の基準光源として広く使用されています。
黒体炉には、大きく分けてキャビティ黒体炉と平面黒体炉の2種類があります。
試験する内容に合わせてお選び下さい。
NIST準拠の高性能な黒体炉を多数取り扱っています。
当社が取り扱っている黒体炉には、下記の種類の黒体炉があります。
・キャビティ黒体炉…高温域の用途に
・平面黒体炉…広い面積・低温域の用途に
・平面黒体炉(差温度タイプ)…赤外カメラの評価装置に
・低価格 平面黒体炉…簡易的な試験に
黒体炉の主な仕様
キャビティ黒体炉
空洞(キャビティ)構造により非常に高い放射率が達成できます(放射率99%)。
口径の大きさに制限がありますが、高温域のアプリケーションに適しています。
チョッパと組合わせることにより、赤外センサの応答性試験に使用できます。
バンドパスフィルタを使用して、特定波長の赤外線のみを放射することも可能です。
・狭視野の赤外線測定装置(放射温度計や赤外線カメラなど)の温度較正試験
・高温域の赤外線測定装置の温度較正試験
・赤外線検知器の応答試験
平面黒体炉
黒体面に放射率の高い塗料を塗り、電子冷却素子や抵抗加熱ヒータを使い黒体面温度をコントロールします。
広い面積が必要なアプリケーションや低温域のアプリケーションに適しています。
・広視野の赤外線測定装置(放射温度計や赤外線カメラなど)の温度較正試験
・低温域の赤外線測定装置の温度較正試験
・赤外線カメラの均一性補正(NUC)
高性能平面黒体炉SR800N-XA
平面黒体炉(差温度タイプ)
赤外カメラの画像や感度を評価するときには、黒体炉の前面に円形、方形、4バーなどのテストパターン(ターゲットプレート)を設置します。このターゲットプレートと黒体面の温度差を一定に制御できるのが差温度タイプの黒体炉です。赤外線カメラの各種試験(NETD、MRTD、MDTDなど)に用いられます。
黒体面の絶対温度の制御も可能なので、通常の平面黒体炉のように、赤外線カメラの温度校正にも使用できます。
・赤外線カメラの性能評価試験
・2次元赤外線アレイ素子の性能評価試験
高性能平面黒体炉SR800N-XD
低価格平面黒体炉
小型軽量で低価格な平面黒体炉です。
コントローラ一体型なので、持ち運びや屋外での使用にも適しています。
・サーモグラフィや放射温度計の温度校正や温度確認
・赤外線カメラの均一性補正(NUC)
低価格平面黒体炉 SR33
赤外線光源ユニット
センサの動作確認などに赤外光源が使いたいけど黒体炉までは必要ない。そんな時に簡単に使える小型の赤外光源です。バンドパスフィルタを付けて任意波長の照射をすることも可能です。
・センサの動作確認
・赤外光の照射
製品リンク:
赤外光源ユニット IRSU-001